省エネルギー化
東日本大震災で、ほとんどすべての原子力発電所が操業停止し、その結果電力コストが上昇しています。現在の日本は、使用電力量の約60%以上を火力発電に依存しています。そして、CO2の削減を盛り込んだ京都議定書での削減目標をはるかに超えて排出しております。
施設にとって、省エネルギー化はコスト削減のみならず、地球環境への配慮、園児の情操教育に役立てる等、有意義な取り組みです。
ここで、省エネルギー化につながる改善策をお伝えします。
保育所にとって、消費電力の多いものは、①照明器具 ②冷暖房設備 ③夏場のプール(温水利用の場合)です。
これらを改善するためにはいくつかの方策があります。
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照明器具については、LEDが効果的です。震災以降、電球を取り外して対応される施設が多くありました。LED電球は蛍光灯に比べて約半分の電力量、白熱電球と比べると約1/6の電力量で済みます。
最近は、LED照明器具が安価で出回るようになりましたので、節約した電気代で施設改修費を回収することも可能です(諸条件あり)。 -
冷暖房設備についてですが、冷房は遮熱効果を高める方法が有効です。窓ガラスにフィルム等を張って遮熱する、建物外壁を遮熱材で覆う、屋上緑化など植物を利用して温度上昇を防ぐなど、冷房設備の稼働を少なくする、設定温度を上げられる工夫が可能です。
暖房については、暖房効果を高める方法が有効です。施設内から熱の放出が多いのは開口部です。ドアや窓の断熱効果を高めるため、カーテン等を利用し熱の放出を防ぎます。また外壁を断熱材で覆う(外断熱)等も効果的です。日の当たらない北側の水廻り部分(トイレなど)だけでも外断熱仕様にする等、出来るところから工夫していくことが望ましいと言えます。 - 夏場のプールに温水を利用する施設は多くあります。園児に水量を気にせず使用してもらうために、屋上に太陽光から集めた温熱を利用して温水にしていくなどの工夫が可能です。温熱をあつめるしくみは、取付けが大規模なものから、そのまま取り付け可能なものまでありますので、施設に合ったものを選ぶといいでしょう。
省エネルギー化には、使用電力を節約するだけでなく、電力を創り出すこと(創電)も可能です。代表的なものは太陽エネルギー、風力発電などがあります。
いずれも、保育所を運営する電力をまかなうためには、広いスペースを使って設置する必要があります。また、太陽光発電、風力発電においても、創電による電気代の削減で施設設置費用を賄えない可能性があります。
ただ、一昨年の東日本大震災の際、規定の時間に保育所に子供を引き取りに来れない保護者が多く出ました。保育関係者は、園児を一晩あずからなければならないことを想定したようです。
このように非常時のための対策と考えれば、蓄電システムと合わせて設置を検討することも可能なのではないかと思います。