児童養護施設の施設整備

厚生労働省の発表によると、平成23年(2011年)時における児童養護施設数は、全国で578か所あり、その定員数については33782名となっています。また全国児童養護施設協議会の報告によると、児童虐待相談件数は9万件を超え、増え続けています。
このように時代背景としては、社会的な児童の養護体制の強化を求められている状況があります。

また、厚生労働省の方針として、児童養護施設の小規模化を進めています。つまり、『小規模化・地域分散を通じ、家庭的養護への転換を強力に推進するため、都道府県における小規模化等の整備計画を評価した上で、小規模グループケアや地域小規模児童養護施設などの整備を重点的に行っていく』方針が取られています。

こうした中で、6名1ユニットとした小規模化が進められているところであり、施設整備については、この大きな流れの中で実行していくことになります。

平成24年度の児童養護施設等に配分された国の施設整備予算は27億円で、繰越金を合わせると36億円になります。これらは、各都道府県・市区町村を通じて、整備計画の事業費補助に充当されます。
しかしながら、予算行使に対して、目標(指標)作成されないため、予算行使は、各自治体の判断に委ねられています。

各施設においては、施設整備事業の自己負担額をいかに調整するかが課題であり、福祉医療機構からの借り入れ返済を含めた返済計画の作成が重要となります。

また施設整備とは別の観点で、施設の小規模化に際しては賃貸借の利用も進んでいます。東京都では、一定額までの施設賃借料に対して全額補助しており、民間の建物活用も推進しています。
6名1ユニットの施設には、1名あたりの最低面積をクリアして約110㎡以上(諸条件あり)の建物延べ床面積が必要でありますが、規模的に見れば、大きな一軒家程度のものであり、特殊な施設ではありません。『家庭的養護への転換』に対応するためには、施設整備と合わせて賃貸借による施設確保も、長期的に見て検討材料としたいところです。

 

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