借入計画の作成

大規模修繕工事や園舎建てかえ、園舎新築等、多額の費用がかかる場合、自己資金と補助金だけでは不足してしまう場合があります。その際、借入を計画するわけですが、どこから借り入れるのでしょうか?

社会福祉法人の事業資金については、独立行政法人福祉医療機構が貸し出しを行っています。事業内容によって貸し出し条件が異なりますので、事前の確認が必要です。
施設整備の場合、事業予算における資金不足分の約90%を貸し出してもらえます。この場合は、借り入れ限度額があること、実際の事業資金とは別に貸し出し用の計算式がありますので、実際にいくら借りられるかは、事前によく確認しましょう。
ほとんどの法人が福祉医療機構から借り入れをします。なぜならば、

  1. 20年元金均等返済で、2年間の元金返済猶予制度がある(諸条件あり)
  2. 低利で貸し出しを受けられる(現行金利は1.3%程度)
  3. 金利に対して、利子補給を受けられる可能性がある(諸条件あり)

という有利な条件があるからです。
なお、福祉医療機構への借り入れ申し込みは、申請手続き準備に時間がかかりますので、早めに準備を始めることが大切です。

また、社会福祉協議会でも同様の貸し出しを行っております。貸し出し総額(枠)や貸し出し金利、返済期間等、条件が異なりますので、事前に確認しましょう。
この借入金利に対しても、管轄自治体が独自に利子補給を行っている場合があります。借り入れを検討される場合には、合わせて確認するようにしましょう。

上記2つの借り入れ機関からの借り入れをしてもなお不足する場合には、民間の金融機関(銀行、信用金庫等)からの借り入れを検討します。上記2つのいずれか(または両方)から借り入れをした場合、土地建物に設定される抵当権は第一順位が原則ですから、民間の金融機関には第二順位以降になることを了承してもらわなければなりません。福祉医療機構で借り入れをした不足分を民間の金融機関から借り入れることを、協調融資と呼んでいます。この協調融資が可能な金融機関は限られていますので、事前に確認しておきましょう。
また事業資金を民間の金融機関から借り入れる場合、借入金利はおおよそ3%~と上記2か所からの借り入れより高いため、協調融資を利用する場合は、返済が可能かどうか、よく確認しておきましょう。
以上の借入先からの借り入れ条件を比較して、最も有利な条件で借り入れできる可能性を検討することが、返済計画を上で重要な意味を持ちます。

さて、借入先の目途がついたら、返済計画を立てます。返済計画で注意すべき点は、先述した運営費の弾力運用を行う場合、民改費の枠内で返済額を抑えなければなりません。以前に借り入れた返済分や土地等の賃借料もこの枠には含まれます。
ですから、運営費の範囲内で実際に返済が可能であっても、返済計画上は返済できない、ということもありますので、注意が必要です。

借入計画については、借り入れ条件の有利なもの(低金利のもの)から順番に考えていくのが通常ですので、返済計画を確認しながら、どの金融機関からいくら借り入れるかを組み立てましょう。

 

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