新築用地・建てかえ用地の確保
事業拡大のための園舎新築、既存園舎の老朽化等に伴う建てかえを計画される場合、法人が一番頭を悩ませるのが、用地確保です。 定員にもよりますが、約300㎡~500㎡規模の用地が最低でも必要になります(建築基準法における、建ぺい率・容積率によっても異なります)。
用地確保の方法は4つあります。
土地の賃借(定期借地権方式)
土地の賃貸に関する法律(借地借家法)が改正になり、土地を有期(期限付き)で賃貸借できるようになりました。保育所の敷地としての賃貸借は、事業用定期借地権方式となります。
近年、新たな土地賃貸借はほどんどこの定期借地権方式によるものとされ、多くの市区町村でも保育所の敷地として、この定期借地権方式の借地を認めています。
借地を探す場合、不動産情報として一般に流通していないことが多く、探すことが困難であるといえます。
専門の不動産会社や建築会社、税理士ネットワークの活用等、幅広く情報を集める必要があります。
借地のメリットとしては、購入より初期コストが安く、借地料を毎月支払うことで利用できるのでコストの平準化につながることが挙げられます。
反面、賃貸借期限の到来とともに、建物を解体し元の状態に戻して返却する必要があることから、契約の延長についても貸主とよく話し合っておく必要があります。
土地の購入
事業用地として土地の購入をする場合、一般的には不動産会社へ依頼します。しかしながら、社会福祉法人との取引をしたことがない不動産会社も多く、条件調整は難しいものがあります。
社会福祉法人の事業用地を確保する場合、行政との調整が必要になります。場合によっては、行政の許可が出る前に、土地の購入契約を締結できない等の制約もあります。
新園舎・建てかえ用地として土地を購入する場合には、予算化までに数ヶ月かかることから売主に事情を十分説明しておかないと、トラブルに発展する可能性があります。
なお、社会福祉法人が事業運営のために必要な土地を購入した場合、売主には譲渡税における税優遇(いわゆる5,000万円控除)が適用になります。この適用には諸条件がありますので、税理士や管轄税務署に事前に確認しておく必要があります。
園庭など現有敷地の活用
建物密集地のみならず、比較的まとまった土地を必要とする事業用地確保は、容易ではありません。
そこで、園庭や保有の駐車場等を利用して、建てかえを行うケースも多く見受けられます。隣接地を購入して、現在の園庭と合わせて施設を建てかえた、というケースもあります。
このように現有敷地の活用をして、建てかえを行う場合には、建てかえる園舎が敷地内に収まるか、また運営上支障がないか、安全面は確保されるか等、気をつける点が多々ありますので、事前に建築設計士等に相談する方がいいでしょう。
公共用地を借りる
建てかえの際、仮設園舎を建築しなければならない場合もあります。近隣の空き地を貸してもらえればいいのですが、そうそう都合良くいかないのが現状です。
このような場合、国有地等の公共用地を借りる等で対応できる場合があります。
直接、土地管理部署へ話を持って行くよりも、施設整備事業の希望を出す際に管轄の市区町村を通した方がスムーズに話が進む場合もあります。
先述の『公設民営』の場合も、公共用地を借りる(賃貸借する)ケースが多くあります。土地確保が確約されていることは大きなメリットです。
このように、土地が見つからないからとあきらめず、いろいろな可能性を探してみることが大切です。